日中国交正常化40周年 北海道・中国交流デジタル資料館

北海道と中国との交流の歴史や
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交流物語
友好

翁琪忠氏作

北海道・黒竜江省友好提携25周年を記念し、札幌在住の書道家、翁琪忠氏に書いていただいたものです。

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北海道と中国の交流の歴史を紹介する資料室です。

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北海道と中国の心温まる交流の物語を10のエピソードで紹介します。

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交流物語 北海道と中国の心温まる10のストーリー

友好湖と友好樹 ~交流の様々な形~

北海道と中国との友好交流には、様々な形があります。市町村同士で友好提携を結んでいるのは2012年までに11組。
このほか、小中学校や高校同士の友好提携や、大学における研究交流協定の締結なども盛んです。ユニークな友好提携を見つけました。

洞爺湖と太平湖【洞爺湖町・安徽省黄山市】

2009年7月、北海道洞爺湖町と安徽省黄山市は、それぞれの地域にある『洞爺湖』と『太平湖』を友好湖とする『覚書』を交わしました。

そっくりな2つの湖

洞爺湖の観光をPRするために、中国の浙江省、安徽省、上海市、杭州市、黄山市を訪れていた洞爺湖町や町議会、洞爺湖温泉観光協会、洞爺湖町商工会などで構成する代表団(団長:長崎良夫前町長)は、安徽省黄山市にある太平湖を実際に見て立ちすくんだと言います。「太平湖と洞爺湖の風景は驚くほどに似ていた。地理的にも文化の雰囲気も似ている」と長崎団長。この時、以前に洞爺湖町を訪れたことがあった黄山市太平湖風景区管理委員会から友好湖締結の提案があり、双方の観光資源の開発や保護に係る情報交換や観光、文化面での交流促進に向けて、友好湖が誕生することとなりました。

『洞爺湖』は、『支笏・洞爺国立公園』の中心的存在です。周囲40km、面積70.74㎢、火山活動でできたカルデラ湖で、周囲の有珠山や昭和新山は今でも噴煙をあげています。湖の中央には4つの島々が浮かび、原生林が生い茂り、数十種類の野鳥が生息する自然の宝庫です。2008年にはG8北海道洞爺湖サミットが洞爺湖町を主会場として開催され、2009年には洞爺湖有珠山ジオパークとして日本初の世界地質遺産(世界ジオパーク)に認定されました。

『太平湖』は、ユネスコの世界自然遺産、世界文化遺産、世界地質遺産に登録されている中国で最も著名な景勝地『黄山』のふもとにあります。面積88㎢の人造湖で、湖水は1年を通じて青く澄み、湖上には島々が点在しています。美しい湖と雄大で幻想的な山は互いに引き立てあい、その様子から太平湖は『黄山の恋人』とも呼ばれています。

学びあう友好湖

洞爺湖と太平湖は、美しい湖ということだけが共通点ではありません。2つの湖には、自然の美しさや豊かさを守り続けてきた人々の努力や取組の歴史があります。景勝地管理の経験、生態系を守る努力、観光客の誘致や民族文化の継承などの取組、さらには、農業をはじめとする産業振興など様々な角度から交流が深められ、連携しあいながら、さらに高め合っていくことが大きく期待されています。

友好湖誕生に携わった洞爺湖町の長崎前町長は「洞爺湖町と黄山市は、これからも2つの湖を通して交流を深めます。まずは芸術・文化などの民間交流を、そして将来的にはチャーター便を飛ばして交流をもっと身近にしていきたいですね」と意欲的に語ります。2011年には洞爺湖日中友好協会が設立されており、住民レベルでのさらなる友好の輪が広げられています。日本と中国の代表的な景勝地が、互いに学びあい、往来を増やしながら、両国、そして世界中の人たちにその魅力を一層、伝えていくことでしょう。

縁桂と重歓木【乙部町・湖南省張家界市】

2005年5月25日、乙部町の木『縁桂(えんかつら)』と湖南省張家界市の木『重歓木(じゅうかんぼく)』が同じ『連理の木』ということから友好樹の提携を結びました。

縁結びの木

乙部町富岡地区の国有林内にあるカツラの木『縁桂』は推定樹齢500年とされ、高さは約40メートル。幹の周囲は6.1メートルで2000年に林野庁の『森の巨人たち百選』にも指定された北海道でも有数の巨大樹です。地上7メートルのところで2本の枝が結合している連理の木で、地元で『縁結びの木』として親しまれています。

湖南省張家界市の『重歓木』は、推定樹齢60年、高さ15メートルのクスの木で、ユネスコの世界自然遺産に登録されている『武陵源』の中心、張家界国家森林公園にあります。この木も、一度2本の幹に分かれたものの、幹の途中で再び結合した連理の木です。

乙部町の町議会議員である大坂さんが、湖南省張家界市を訪れた際に重歓木を知ったことがきっかけで、お互いに親善訪問団を送り交流を深め、友好樹の締結に至りました。調印に向けて乙部町を訪問した汪業元(おう・ぎょうげん)張家界市副市長ら訪問団一行は、まず縁桂の木を視察。汪副市長は「大自然が縁桂と重歓木という奇跡の木を作った。人類も大自然を見習い、友好を大切にすべきだ」と笑顔をみせたと言います。

調印に向けて乙部町を訪問した汪業元(おう・ぎょうげん)張家界市副市長ら訪問団一行は、まず縁桂の木を視察。汪副市長は「大自然が縁桂と重歓木という奇跡の木を作った。人類も大自然を見習い、友好を大切にすべきだ」と笑顔をみせたと言います。

調印した寺島光一郎乙部町長と汪副市長はがっちりと握手を交わし、縁桂と重歓木の保護強化を通じ、民間レベルでの友好促進や両国の環境保全に向けた取組を進めていくことを約束しました。

友好の証を次の世代へ

乙部町では、毎年9月23日の秋分の日に縁桂の木に触れるフェスティバルが行われます。友好樹の提携をして以来、開催に合わせて湖南省張家界市から親書が届きます。2012年9月23日、張家界市市長から乙部町長と町民に届いた祝賀状は、フェスティバル参加者の前で読み上げられました。当時をよく知る関係者は「親書を受け取り、これからもお互いに交流を続けていきましょうという意思確認ができて嬉しく思う」と変わらぬ友好関係を喜びました。

町では、縁桂の後継樹を確保するためにクローン苗木を接ぎ木により増殖させ、2006年に高さ1.5メートルに育った3本のクローン苗木を植樹しました。この木には、豊かな自然と日中友好の証であるこの木が、途絶えることなく次の世代に引き継がれていってほしいという願いが込められ、多くの町民が見守る中、植樹祭が行われました。

自然は私たちに様々な恩恵を与えてくれます。緑あふれる友好樹が結ぶ両地域の縁は、これからも大切に育まれ、ますます太い幹となっていくことでしょう。